子どもがScratchでキャラクターを動かしていると、右へ進むときは普通なのに、左へ向けた途端に頭が下になることがあります。左右に歩く人物や動物なら、対象のスプライトで「回転方法を[左右のみ]にする」を実行すると、上下をひっくり返さずに向きを変えられます。
ただし、この設定だけで左へ歩き出すわけではありません。ここでは「左を向いたときに逆さまにならない」状態を作るために、回転方法・向き・移動を分けて設定します。標準のネコなど、もとのコスチュームが右向きのスプライトを使う例です。
「回転方法」は、向きを変えたときの絵の見せ方
まず区別したいのは、「どちらを向いているか」と「その向きを絵にどう反映するか」です。Scratchには、スプライトの向きを指定する命令とは別に、回転方法を選ぶ命令があります。
Scratch公式の回転方法の説明(英語)では、左右だけに反転させる方法、自由に回転させる方法、回転させない方法が案内されています。作品のすべてのキャラクターを同じ設定にする必要はありません。
| 見せたい動き | 回転方法 | 今回の使いどころ |
|---|---|---|
| 足を下にしたまま左右を向く | 左右のみ | 横向きに歩く人物や動物 |
| 進行方向に合わせて体全体を回す | 自由に回転 | 旋回する飛行機や矢印 |
| 向きが変わっても絵の姿勢を固定する | 回転しない | 同じ姿勢を保ちたいマーク |
この表は設定を選ぶための制作例です。歩くネコの上下反転を直したいなら、「左右のみ」から試しましょう。飛行機まで同じ設定にすると、斜めに飛ぶときの見せ方が意図と合わなくなります。
逆さまになるキャラクターの開始処理に入れる
設定するのは、背景ではなく、逆さまになっているスプライトです。スプライト一覧から対象を選び、「コード」を開いて作業します。
- 青色の「動き」から「回転方法を[左右のみ]にする」を取り出す。
- 対象のスプライトの「緑の旗が押されたとき」の下につなぐ。
- 緑の旗を押してから、左向きになる操作を試す。
すでに開始時の処理があるなら、その中の移動を始める前に入れます。新しい開始処理をいくつも増やすより、既存の並びの中で設定する場所を決めてください。
ブロックを置いただけでは、まだ設定が実行されていない場合があります。必ず緑の旗を押して確認します。開始時に回転方法を指定する組み方は、文部科学省のScratch研修教材「ねこ・ねずみを動かす」でも、端で跳ね返ったネコが逆さになる場面への対応として紹介されています。
この段階では、得点や音、背景を変える必要はありません。左を向いたときに足が下になっているかだけを見ます。
左右キーで動かす例:顔の向きと移動をセットにする
次は、左右キーで歩くキャラクターの例です。Scratchでは右向きに90度、左向きに-90度を使います。向きを指定するブロックについては、Scratch公式の「度に向ける」の説明(英語)も参照できます。
以下は、エディター上でブロックを組むための並びです。貼り付けて実行するコードではありません。
緑の旗が押されたとき 回転方法を[左右のみ]にする 90度に向ける 右向き矢印キーが押されたとき 90度に向ける x座標を10ずつ変える 左向き矢印キーが押されたとき -90度に向ける x座標を-10ずつ変える
移動量の10と-10は、左右の動きを比較するための例です。Scratch公式のx座標の説明(英語)では、正の数なら右へ、負の数なら左へ位置が変わることが示されています。
右キーと左キーを交互に押し、「顔を進む側へ向ける」「その側へ移動する」が両方できるか確認しましょう。この例は、キー操作と向きの対応を確かめるためのものです。なめらかな連続移動や壁判定は、ここでは追加しません。
すでに同じキーで動く処理がある作品では、この例を丸ごと追加しないでください。既存の移動処理に「度に向ける」を組み込み、移動が重複しないようにします。
「左へ動くのに右を向いたまま」なら、別の設定を見る
「x座標を-10ずつ変える」は、位置を左へずらす命令です。それだけでは、顔を左へ向ける指示になりません。左キーの処理に「-90度に向ける」があるかを見てください。
反対に、左を向くのにその場から動かないなら、向きだけが変わっている可能性があります。「向き」と「移動」を別々の欄として考えると、足りない命令を見つけやすくなります。
「歩動かす」を使う作品では、移動の符号に注意する
すでに「10歩動かす」で移動を作っている場合、x座標の命令へ必ず置き換える必要はありません。ただし、「歩動かす」はスプライトの現在の向きを使う命令です。
Scratch公式の「歩動かす」の説明(英語)によると、正の歩数では現在の向きへ、負の歩数ではその反対へ動きます。右向きのコスチュームを使う今回の例なら、次の違いがあります。
お子さまに合う学び方診断
正解・不正解を決める診断ではありません。今の様子から、取り組みやすい学び方の入口をご案内します。
| 命令の組み合わせ | 移動する側 | 見せたい動きとの関係 |
|---|---|---|
| -90度に向ける→10歩動かす | 左 | 左を向いて前へ進む |
| -90度に向ける→-10歩動かす | 右 | 左を向いたまま後退する |
| 90度に向ける→x座標を-10ずつ変える | 左 | 右を向いたまま左へ移動する |
「左だから向きも歩数もマイナス」とすると、思っていた側と逆へ進むことがあります。左向きにしてから前進させるのか、向きと無関係に横へずらすのか。使っている移動命令に合わせて選びます。
作品用の設定表で、直ったかを確認する
次の表は、このページ独自の確認シートです。「見た目」と「移動先」を別の項目として残します。画面を見ながら空欄を埋め、想定と違う行だけを確認してください。
| 確かめる項目 | 今回の設定例・期待する状態 | 自分の作品 |
|---|---|---|
| 対象のスプライト | 操作するネコ | ____ |
| 回転方法 | 左右のみ | ____ |
| 開始時の向き | 90度・右向き | ____ |
| 右キーを押したとき | 右を向き、右へ進む | ____ |
| 左キーを押したとき | 左を向き、左へ進む。足は下 | ____ |
| もう一度旗を押したとき | 決めた開始時の向きになる | ____ |
途中までは正しく、特定の操作後だけ上下反転するなら、その操作の処理に別の「回転方法を」にする命令がないか探します。対象ではないスプライトへ設定していないかも、併せて見てください。
自作の絵だけ左右が想定と逆になる場合は、コスチューム自体をどちら向きに描いたかも確認が必要です。まず標準のネコで同じ設定を試し、命令の問題と絵の向きの問題を分けましょう。自作絵の状態は作品ごとに異なるため、この情報だけでは修正箇所を断定できません。
よくある質問(FAQ)
「回転しない」でも、逆さまになるのを防げますか?
絵の姿勢は固定できます。ただし、左右へ顔を向け直す見せ方にはなりません。右と左で顔の向きを変えたいなら「左右のみ」、常に同じ姿勢にしたいなら「回転しない」を選びます。違いは前掲のScratch公式の回転方法の説明に基づきます。
端で跳ね返ったときだけ逆さまになります。対応は同じですか?
左右を往復するネコなどであれば、同じく開始時に「左右のみ」を設定する方法があります。文部科学省の前掲教材にも、その場面の組み方が載っています。体全体を回転させたい作品では、見せたい動きに合わせて判断してください。
回転方法は、すべてのスプライトに設定しますか?
今回直したいキャラクターを選んで設定します。主人公、飛行機、マークでは必要な見せ方が違うため、一律にそろえるのではなく、設定表の「対象のスプライト」を分けて考えましょう。
自分の作品ではどの命令を変えればよいか分かりません。
「左キーを押すと移動は左だが、絵が逆さになる」のように、操作・移動先・見た目を分けた状態で相談できます。設定表と、対象のスプライトのコードを用意すると、確認したい内容を具体的に示せます。実際の作品を見ない段階では、原因の断定はできません。
左右の見せ方から、作りたい動きにつなげる
今回の制作で確かめたいのは、単に逆さまを直すことだけではありません。「顔の向き」「絵の回転方法」「移動する側」をそれぞれ選び、子どもが見せたい歩き方に合わせることです。設定表の左右の行が埋まったら、まずその状態を制作の区切りにしましょう。
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