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LEGOブロックやScratchの教育効果について

コラム

「コンストラクショニズム理論」という言葉を聞いたことがありますか?自分自身の考え方や知識から新たな知識を構成するという考え方で、子供たち向けのレゴ教室やプログラミング教室にこの理論が組み込まれています。子どもたちがものづくりを学ぶ意味とは”今までの学校教育の学び方を変革する”というところにあります。コンストラクショニズム理論はそのための大きな方法になります。

本記事では、コンストラクショニズム理論の基礎から実際の教育現場でどのように活かされているのかを解説します。

コンストラクショニズム(構成主義)理論とは?

コンストラクショニズムは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のシーモア・パパート教授によって提唱された、ものづくりを通してものごとを学ぶ新しい学びです。

コンストラクショニズム理論における学習の定義は、単に情報を受け取る受動的なプロセスではなく、能動的なものとして、学習者は、自分自身の経験や既存の知識に基づいて新しい知識を構築することを促します。

知っておきたいコンストラクショニズム理論の重要性

コンストラクションニズム理論は、子供の教育においても有効で、自分自身で物事に取り組み、経験することで新たな知識を獲得します。

コンストラクショニズムは、ジャン・ピアジェの構成主義(Constructivism)という教育理論に根ざしています。構成主義では、学習者が自らの経験を通じて知識を「構築」すると考えられています。つまり、知識は単に伝えられるものではなく、学習者がアクティブに関与し、自身の理解を形作っていくプロセスとされます。

コンストラクショニズムの最も有名な提唱者は、MITの教授であったシーモア・パパートです。彼はピアジェの下で学んだ経験があり、その理論を発展させ、特にデジタル時代の教育に応用しました。パパートは「ロゴ」プログラミング言語の開発者の一人でもあり、子どもたちがプログラミングを通じて学ぶことで、より深い数学的概念を理解できると考えました。

コンストラクショニズムは、特に「ものづくり」の教育的な側面で顕著です。学習者は具体的な物体やプロジェクトを作成することで、より深い理解を構築します。このプロセスでは、試行錯誤や実験、自発的な発見が奨励され、創造性と問題解決スキルが育成されます。このアプローチは特にSTEM教育(科学、技術、工学、数学)において重要で、生徒たちが実際に何かを作り、そのプロセスを通じて学ぶことを促します。

コンストラクショニズムは、LEGOやスクラッチのような教材にも大きな影響を与えています。LEGOブロックを使用する活動は、子どもたちが創造的に物を作り、問題解決のスキルを育てるのに理想的です。同様に、スクラッチ(パパートのロゴ言語の精神的後継者)は、子供たちがプログラミングの基本を楽しく学べるようデザインされています。これらの教材は、学習者がアクティブに関与し、自分の学びを形作るコンストラクショニズムの理念を体現しています。

注目すべき「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」の考え方

マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授は2007年、「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」という言葉があります。これは、2007年に、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授が率いた研究グループの名称として、語り継がれているものです。

1. アクティブな学習:

コンストラクショニズムでは、知識は受動的に受け取るものではなく、アクティブに構築するものとされます。ライフロング・キンダーガーデンはこの原則に基づき、子どもたちが実際に手を動かし、自分自身で物事を探求することを奨励します。

2. プロジェクトベースの学習:

幼稚園では、子どもたちはしばしばプロジェクトに取り組みます。これらのプロジェクトは、子どもたちが自分の興味や情熱に基づいて選ぶことが多く、学習に深い意味と関与をもたらします。レズニックは、このプロジェクトベースの学習をすべての年齢層に適用することを提唱しています。

3. 創造性と表現:

レズニックは、子どもたちが創造的なプロセスを通じて学ぶことの重要性を強調しています。これはコンストラクショニズムの核心であり、学習者が自分自身のアイデアを形にすることで、より深い学びを実現します。

4. 協働と共有:

ライフロング・キンダーガーデンのアプローチでは、協働と共有も重要な要素です。子どもたちは他の人と一緒に作業し、アイデアを共有し合うことで、新たな視点を得たり、問題解決能力を高めたりします。

5. 反復と反省:

学習プロセスにおいて、試行錯誤や反省は重要な役割を果たします。レズニックは、子どもたちがプロジェクトに取り組む際に、何が上手く行ったか、何が改善できるかを考えることを奨励しています。

ツールとしてのスクラッチ

レズニックはスクラッチというプログラミング環境を開発しました。これは、子どもたちがプログラミングを通じて、自分自身のインタラクティブなストーリーやゲーム、アニメーションを作成できるようにするものです。スクラッチはコンストラクショニズムの原則を具現化しており、子どもたちがアクティブに学習に参加し、創造的なプロセスを経験するのを助けます。

コンストラクショニズム理論を活かしたものづくり教育

現代のものづくり教育は、コンストラクショニズム理論が土台となり、子供たちの成長を育んでいます。実際にどんな教育が行われているのかをいくつか紹介します。

Scratch

プログラミング言語の「Scratch」を使ってロボットを製作したり、実際に動かしてみたりなど、体験を通じて論理的思考能力や問題解決能力を養います。プログラミング学習は主体的に学ぶことに意義があります。子供たち同士が能動的にコミュニケートを取り合い、プログラムを理解し、自分で試行錯誤することで、新たな知識の獲得につながります。

LEGO®︎

レゴ教育は、コンストラクショニズム理論をベースとしている教育です。ブロックの数や 長さ、位置関係などを遊びながら考えることで、創造的な思考を養うのに効果的。幼児から成長するにつれて、オリジナル制作や、より高度な仕組みを構築しながら実験を行うプログラムが用意されています。

これからの教育で伸ばすべき力


コンストラクショニズムに基づくLEGOやスクラッチのような教材の導入は、伝統的な教育方法に対して新しい教育観を提唱するものです。知識を単に伝授されるものではなく、学習者が自らの経験を通じて能動的に構築するプロセスです。LEGOやスクラッチは、子どもたちが実際に何かを作り、その過程で学ぶことを可能にします。

旧来の教育方法が教師中心の指導と知識の伝達に重点を置くのに対し、コンストラクショニズムは学習者の自発的な探求と創造性を重視します。LEGOを用いた学習では、子どもたちは物理的なモデルを作成し、そのプロセスで科学的概念や工学的原理を実践的に理解します。また、スクラッチを使ったプログラミング教育では、子どもたちが自分自身のコンピュータプログラムやゲームを作りながら、論理的思考や問題解決スキルを養います。

これらの教材は、子どもたちが自分の興味や好奇心を追求することを奨励し、学習過程での協力や共有、反省を促します。これは、学習者が主体的に関与し、自分自身で意味や理解を構築するコンストラクショニズムの核心です。

総じて、LEGOやスクラッチを取り入れた教育は、単なる知識の伝達ではなく、学習者がアクティブに参加し、探求し、創造することを重視する新しい教育観を提案しています。これは、21世紀の教育が直面する課題に応え、子どもたちが未来の複雑で変化する世界に対応できるようにするための重要なステップです。

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