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STEM教育/STEAM教育とは?海外での取り組み事例をご紹介!

コラム

21世紀の教育で世界が注目するSTEM教育やSTEAM教育。IT、AI、プログラミングなど日常を取り巻く技術の革新は日々変遷を遂げています。日本では2020年にプログラミング教育が導入されました。

本記事では、世界ではどのような教育が行われているのか、STEM教育やSTEAM教育の概要を紹介した上で、海外での取り組み事例を解説します。
結論、日本のSTEM /STEAM教育の取り組みは諸外国には大きく遅れている部分があります。

STEM教育/STEAM教育とは?

STEM教育および、STEAM教育の定義について改めてご紹介します。すでにご存知の方もいるかと思いますが、教育への理解を深めるきっかけとして参考にしてみてください。

STEM教育

STEM教育は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの分野を統合し、総合的な学習を促す教育アプローチです。

この教育方法は、生徒たちに問題解決能力や創造性を育むことを目指し、現実の問題に対する科学的なアプローチを学ぶことを重視しています。

STEAM教育

STEAM教育は、STEM教育に芸術(Art)を加えた教育アプローチです。つまり、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)に加えた教育システムのことです。

芸術やデザインの要素を組み合わせた総合的な学習体系のもと、生徒たちが科学的な知識や技術を活用しながら、自分自身のアイデアを形にできるようにすることです。例えば、プロジェクトのデザインやアート作品を通じて、科学技術を芸術的に表現するスキルを養います。

CotoMiraiではSTEM /STEAM教育をどのように捉えるか

STEM教育/STEAM教育のポイントは”教科横断型の問題解決活動”だと考えています。
・ロボットやプログラミングを使うのはあくまで手段
・学校の学習でいうと生活科や総合学習に近い
・より科学的な問題解決能力の育成を目指す
が、ポイントだと考えています。プログラミング教育が始まったからといって全く新しい教育が始まったと言うことではないと考えています。総合学習などに代表される問題解決的な活動により積極的に取り組んでいこうと言うのがSTEM教育/STEAM教育の導入だと考えています。

STEM教育の海外での取り組み事例

海外でのSTEM教育における取り組み事例をいくつかご紹介します。

韓国での取り組み

韓国では、2013年に第3次科学技術基本計画が発表され、STEM教科書、科学英才教育支援体制の強化、理工系分野の成功ビジョンの提示及び進路教育の強化などの取り組みに着手してきました。

また初等中等教育におけるSTEM教育にも注力。教育庁、大学、政府機関、公益法人等で設置し運営する英才教育学院や、数学・科学・芸能等多様な分野に対するプログラム式英才教育を行う英才学級を設置し、高度な人材の育成に向け、実践的なSTEM教育が行われています。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組③

シンガポールでの取り組み

シンガポールでは、1997 年に提起された「思考する学校、学ぶ国家」、2004 年に「能動的・自律的な学習のための方略」の導入により、STEM の知識を社会での使われ方に則したカテゴリー分けの中で学習することを可能にしました。

次世代の理系人材の育成を担うサイエンスセンターの設置や、科学研究における生徒の興味を刺激し才能を育成することを目的とした科学指導プログラムが開始され、思考力の育成を重視した革新的な学習を推進しています。

出典:諸外国の政府におけるSTEM人材戦略の取組④

STEAM教育の海外での取り組み事例

海外でのSTEAM教育における取り組み事例をいくつかご紹介します。

中国での取り組み

教育用ロボットの開発メーカーであるMakeblockが中国のSTEAM教育を牽引しています。「mbot」や「火星探査キット」などの教育ロボットを活用しながら、ソフトウェアの使い方やプログラミングを楽しみながら学ぶカリキュラムが提供されています。

優秀なIT企業と連携し、STEAM教育レベルの底上げを図る好事例であり、国全体で取り組む姿勢は他国も見習うべきでしょう。

参考:makeblock education

アメリカでの取り組み

アメリカでは従来より、STEAM教育を重視する国家の方針のもと、IT技術やAI技術の教育に注力してきました。そのような中で、世界から注目を浴びている学校が「High Tech High」です。

積極的にSTEAM教育に取り組んでおり、教科書や定期試験などが無くプロジェクトベースで学習を進めていきます。プログラミングをはじめ、テクノロジーを学びながら問題解決能力を養う実践的なスキルを育むことが特徴です。

参考:High Tech High

日本の教育の遅れをどう取り戻すか

ここまでみてきたように日本におけるSTEM教育的な取り組みは諸外国と比べると10年近く遅れているともいます。そのような事態にどのように対応するかを最後に整理します。

・STEM /STEAM教育のコンセプトは”総合学習”に近い
・STEM /STEAM教育の目的は教育のアプローチの変化
という2つのポイントからこれかの教育の可能性について考えてみましょう。

・STEM /STEAM教育のコンセプトは”総合学習”に近い
についてですが、日本ではすでに30年以上前から総合学習という授業があります。STEM /STEAM教育のコンセプトは基本的にはこれにかなり近いです。その点から言えば日本ある意味、進んでいるということもできます。大事になってくるのはPCやインターネットなどのICT機器を使いこなせるかです。STEMのアプローチはICTの機器を使いこなすことでより良い問題解決ができるという視点に立っています。日本で度々批判される、「鍵の締まったパソコン室」や「決まったアプリしか使えない配布PC」問題をいい意味で乗り越えて、STEM教育の視点から今の総合の時間をアップデートできればその遅れは取り戻すことができるでしょう。


・STEM /STEAM教育の目的は教育のアプローチの変化
もう1つ、STEM /STEAM教育は教育のコンテンツではなく教育方法の1つのアプローチであると考えます。教科横断型の学習というのがSTEM /STEAM教育の大事なポイントです。これは普段の教科の学習をどのようにして他の教科の学習と関連づけるか、また実生活の問題解決と結びつけるかということが本質的なポイントです。STEM /STEAM教育という新しい教育コンテンツを持ってきて導入するという意識ではなく、今までやってきた教育活動をいかに関連づけるかという教育のアプローチを重視することで、一気に学校の教育をSTEM /STEAM教育的なものにすることができます。

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